|
今年のフォーラムOsaki Midori Forum in Tottori
|
「尾崎翠の代表作は何か?」と聞かれたら、わたしは即座
に @「第七官界彷徨」 A「琉璃玉の耳輪」 B「映画漫想」と
答える。二〇〇四年の尾崎翠フォーラムに招いたカナダのリ
ヴィア・モネ教授 と トマス・ラマル教授も同意見で、
わが意
を得た思いだった。
これまで、阪妻プロダクションに応募した
「琉璃玉の耳輪」
は注目されてこなかったが、この尾崎翠の映画台本を原案に
津原泰水さんが探偵小説「琉璃玉の耳輪」を昨秋刊行するや、
発売・即・重版の爆発的な売れ行きで、尾崎翠の新たなブー
ムを巻き起こした。
尾崎翠の原作も探偵物の体裁をとり、主人公の女探偵が黒
いベールを被った貴婦人から、琉璃玉の耳輪をつけた中国人
の三姉妹の行方の探索を依頼され、男装して横浜の阿片窟な
ど各地を渡り歩いてついに見つけ出す、というストーリー性とエ
ンターテインメント性に富んだアクション・ドラマである。
津原泰水さんによると、尾崎翠は大変なパロディストで、「琉
璃玉の耳輪」の登場人物は鳥取県ともゆかりの深い日本の近
世文学の古典的大作を下敷きに、それをパロディ化したものだ
との発見に至る。
しかも、 その第一の発見は、一助、二助、三五郎 … といっ
た数字で表記される「第七官界彷徨」や後期の連作の登場人
物のネーミングでも反復されている。
この第二の発見は、「
第七官」の「七」を含めて、
尾崎翠の数字のナゾの解明に挑
戦した少なからぬ研究者たちの見解とは別の地平から、
まっ
たく新たな解釈を導き出すものだ。
その内容は、七月十日に尾崎翠の出生地・岩美町の中央公
民館で初開催する 第11回尾崎翠フォーラムでの津原泰水さん
講演 「琉璃玉から第七官界へ」を待ちたいが、
文学史的な論
議を呼び起こす重要な講演となるだろう。
地元岩美町大羽尾にアトリエを構え、
日本海新聞の復刻連
載の挿絵で好評を博したKEiKO・萬桂さんの講演「『第七官界
彷徨』の挿絵を描いて」と原画展も楽しみだ。
津原泰水さんの探偵小説 『琉璃玉の耳輪』やKEiKO・萬桂さ
んの新作の詩画集『薊の棘』などの書籍販売に加えて、フォーラ
ム会場で両氏のサイン会も行う。フォーラム参加を条件とした翠
文学&浦富海岸ジオツアーも席に余裕があるので早目に申し込
んでほしい。
(尾崎翠フォーラム実行委員会代表・土井淑平)
◇「尾崎翠フォーラムin鳥取2011」は、7月10日(日)午後1時半
から、岩美町中央公民館で。前売り券2千円。午前中の翠文学
とジオパークを巡るツアーは無料。バス定員40名。浦富海岸島
巡り遊覧船のみは定員50名。
いずれもフォーラム参加チケット
の申し込みが合わせて必要。問い合わせは電話 0857
(27)
7369、土井さんへ。
尾崎翠フォーラム実行委員会
〒680−0851 鳥取市大杙26 土井淑平気付
(TEL・FAX) 0857−27−7369(代表・土井)
(携帯) 080 -4262
前売り券・ツアー参加を申し込まれる方は、氏名・住所・電話番号・
|