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Osaki Midori Forum in Tottori

          3・27〜28 東京シンポジウム

   ウルトラ・モダーンの世界

      「尾崎翠の新世紀」における挨拶より 

                       土井淑平

     尾崎翠フォーラム代表の挨拶(写真=鳥取県提供)


 きょうは川上未映子さんの講演と澤登翠さんの朗読をお聞か
せいただき、 いずれも素晴らしい語り口で、 すっかり幸福な気
分になっています。
 私は尾崎翠の郷里である鳥取で 「尾崎翠フォーラム ・in・ 鳥
取」を主催する尾崎翠フォーラム実行委員会代表の土井と申し
ます。
 このシンポジウムには鳥取から、さきほどご紹介をいただい
た尾崎翠フォーラム顧問で、 ご親族の早川洋子さんと松本
敏行さん(浜野佐知監督と山崎邦紀さんにもフォーラムの顧
問になっていただいていますが)、私を含めて8人の実行委員
と賛助会員が参加しています。
 関東にお住まいのご親族で尾崎翠と生活を共にされた小林
喬樹さんも、やはり私たちのフォーラムの協賛者としてご支援
をいただいておりまして、きょうはお見えになるとうかがってい
ましたが、お見えになっていないようですね。
 尾崎翠フォーラムは浜野佐知監督が鳥取でロケされた映画
『第七官界彷徨 ― 尾崎翠を探して ― 』の制作をきっかけに、
2001年に立ち上げて今年で9回目、来年は10周年を迎えま
す。
 尾崎翠フォーラムは毎年1回、翠の命日の7月8日に近い土
・日に、第一線の研究者や芸術家を招いて、講演その他の催し
と翠文学散歩ツアーを実施し、そのもようをホームページと報
告集で報告しています。尾崎翠フォーラムのホームページをの
ぞいていただけたらと思いますが、報告集にはフォーラムのイ
ベントだけでなく、第一線の翠研究者の最新の論考や尾崎翠
のご親族の寄稿、さらに全集未収録の翠作品を発掘し掲載し
てきました。
 きょうの会場入り口で フォーラム報告集 を販売していますの
で、どうか手に取って見ていただけたら幸いですが、尾崎翠の
読者や研究者にとっても貴重な資料ないしは情報源の1つとな
っていると自負しています。
 きょうのシンポジウムを企画された実行委員会の浜野佐知
監督や澤登翠さんには、ゲストとして私たちのフォーラムにもた
びたびお招きし、旧知の間柄でありますが、 尾崎翠の文学活
動の舞台だった東京で、しかも日本近代文学館で、このような
シンポジウムが初めて開かれましたことは、大きな意義を持つ
ことと喜んでいます。
 こんもりとした緑の多いこの駒場公園の風景は、翠がかつて
住んでいた上落合にもあったと思いますし、 翠の時代を彷彿と
させるような感じを受けています。
 尾崎翠は郷里の鳥取と東京を行き来して、 鳥取のローカリ
ティと大都会・東京のモダニズムが、微妙に交差した不思議な
印象の作品を生み出しました。
 その作品は「滑稽」と「哀感(つまり哀しみの気分)」が結び付
いた、独特のユーモアとパロディをたたえていますが、尾崎翠
が日本有数のモダニスト作家であり、かつまた、 日本におけ
るフェミニストの先駆けでもある、とする評価が近年定着しつ
つあるように思います。
  外国の研究者のなかでも、たとえば私たちのフォーラムで2
004年に講演したカナダ・モントリオール大学のリヴィア・モネ
教授は、尾崎翠をモダニズム並びにフェミニズムの文脈でとら
えています。昨年のフォーラム報告集で紹介している米オハイ
オ大学のウィリアム・タイラー編のmodanizumu≠ネる英訳に
も、尾崎翠の「詩人の靴」が収録されて、日本のモダニストの
一人との位置づけがなされています。
 さきほどの澤登翠さんの素晴らしい朗読による 「 アップルパ
イの午後」のパロディでも明らかなように、(これは妹に対して、
女らしくあれとか、白粉をつけろとか、恋をせよとか口うるさく言
う兄、つまり家父長制をからかった皮肉な作品ですが)、尾崎
翠が日本におけるフェミニズムの先駆けの一人であることに
異論はありませんが、ただ私は尾崎翠はたんなるモダニスト
や近代主義者ではないと申し上げたい。
 というのも、さきに触れた郷里のローカリティと都市モダニズ
ムにも関係しますが、尾崎翠の再評価の口火を切った花田清
輝流に言えば、尾崎翠はモダニズムとフォークロアがユーモラ
スに交差するテクストによって、何とも絶妙なウルトラ・モダー
ンの世界を創造したと思うからです。
 モダニズムとフォークロアのこの奇異なる絡み合いは、 異質
なものの出会いと結合による、尾崎翠のシュールな黒いユーモ
アの源泉の一つでもあります。
 最後になりましたが、尾崎翠の作品に出てくる鳥取の心象風
景は、オール鳥取ロケで撮影され、あす上映される浜野監督の
『こほろぎ嬢』に、 美しい映像詩として再現されていますので、 
ぜひご覧になって下さい。
 川上未映子さんの冒頭の講演に、 「歩行」の一節から 「面影
」の名前が出てきましたが、 「面影」 はまぼろしではなく実際に
ある地名で、 尾崎翠は面影小学校を首席で卒業しています。
尾崎翠フォーラムではこの面影小学校に始まって、翠の菩提
寺である鳥取市の養源寺や出生地である岩美町の西法寺、さ
らに山陰松島の異名をとる浦富海岸など、 翠ゆかりの地を巡
る翠文学散歩ツアーも実施しています。
 どうか、鳥取の尾崎翠フォーラムにも一度お出でになっていた
だけたらと思います。どうもきょうは有難うございました。

             
 (尾崎翠フォーラム実行委員会代表)

(注)この挨拶は事前に準備したメモをもとに復元したものです。