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書籍紹介

Osaki Midori Forum in Tottori

                              =書評2題=

               寺田操   『都市文学と少女たち』
          
水田宗子『尾崎翠』
   
                                 椋本かなえ

 

              寺田操著

『都市文学と少女たち 
  尾崎翠・金子みすゞ・林芙美子

           (白地社、2004年)

 尾崎翠は、作家か、それとも詩人か?この疑問は空中に漂う雲
のように、いつでもなんとなくわたしの頭を悩ましている。残された作品数から見れば、作家、とするのが妥当であろうが、かといって、詩人でない、と言いきれないところもたしかに存在する。
 そもそも作家と詩人との違いはどこにあるのだろうか。目に見える部分から言えば、使う文字、言葉の差ということになるだろう。目に見えないもっと根本の部分で言うならば、全てを説明しないと気がすまないのが作家、ある程度を読者のイマジネーションにゆだねてしまうのが詩人、ということになろうか。
 そうすると、自然主義文学を嫌い、「第七官界」などの言葉で読者に想像の余地を与える翠は、詩人の仲間なのではないか、とわたしは解釈するのだが、本書の著者も翠について次のように言っている。「本質的なところでは詩人だといって差し支えないでしょう。」と。翠独自の視点と創造性、あるいは表題にもある同時代の詩人、金子みすゞとの類似性から著者はそのように結論を導きだしており、その経過は前著『金子みすゞと尾崎翠―一九二〇・三〇年代の詩人たち』(白地社)にも詳しい。
 前置きが長くなったが、本書ではこの二人に林芙美子をくわえて、彼女たちが文章の世界で共通して活躍していた時期の都市文学、というポイントを新たに設定し、そこから彼女たちの作品を改めて眺め、三人の共通性、あるいは都市文学との同時代性をとらえようという試みがなされている。
 このうち金子みすゞ、林芙美子については本書に直接あたっていただきたいと思うが、尾崎翠に関連する作家について著者は、吉屋信子・素木しづ・中条百合子・佐藤春夫などを取りあげ、とくに佐藤春夫からの影響が大きいことを指摘している。「翠の敬愛する佐藤春夫は小説、脚本、批評、翻訳、随筆と、さまざまなジャンルを横断する作家」であり、翠は「佐藤春夫的才能」をもっていると著者は言う。
 また、都市に住む作家だけではなく、その時代の都市空間と作品形成とのかかわりについても著者はひとつの見解を示している。翠の作品の主要なモチーフのひとつに屋根裏があるが、それが生まれた背景には地方からの上京者のための集合住宅やアパートが建てられた一九二〇・三〇年代の都市が存在しているというのである。この点は翠の作品世界を読み解くうえでの、重要な一側面ではないだろうか。
 以上、簡単に内容の紹介をしてきたが、都市と都市文学、それと翠との同時代性、共通性を探る著者の試みは、翠について最近とみに増加している研究テーマである、社会的・文化的に翠を位置づけるもののひとつだとしてよいだろう。今後もますますこの種の研究は増えてくるであろう。本書がその研究をより推し進める一助となほしいものである。

              水田宗子著

       
『  尾 崎 翠
      
「第七官界彷徨」の世界

         
   (新典社、2005年)