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Osaki Midori Forum in Tottori

=書評=

 
                       

    
     布施薫著

  数 字 ( ひ と つ ) の 恋
  〜尾崎翠「第七官界彷徨」を読む〜

         (『遊卵船』第2号、2005年5月) 



                            椋本かなえ

 本論を読み終えて、ひさしぶりに作品そのものに密着した論に出会えたと嬉しくなった。最近、尾崎翠についての論はその手を急速に広げており、この作家を社会や文化の枠組みのなかになんとかして位置づけようとする試みが多くなされる傾向にある。反面、作品自体についての論はだんだんと影をひそめ、作品そのものを読みこんでいく作業がおろそかにされていっているような気が常々していたが、本論は、そんなわたしのもやもや感を吹き飛ばしてくれるものであった、
 本論は「第七官界彷徨」にちりばめられた数字のマジックを解き明かしながら、この作品の構造的な側面について興味深い考察を加えている。「第七官界彷徨」を読み解くうえで、数字が非常に重要な役割を果たしていることは、すでに多くの論者によって議論がなされているが、布施氏はそこから一歩先に進み、作中で忘れ去られたように見える「四」および、それと対をなす「六」について注目している点が斬新である。布施氏は「第七官界彷徨」における恋の物語は、この「四」と「六」を起点とした数字のドラマによって組み立てられているという考えを基にして、 「第七官界彷徨」の世界を新しくきりひらく試みに着手している。
 なかでも白眉なのは、塚本論によりこれまで不在の象徴と考えられてきた「四」を、不在をあらわすものではなく「極めて重要な機能を負わされて」作品に配置されているものである、とした点であろう。詳しい考察の過程は本論に譲るが、布施氏の言う「極めて重要な機能」とは要するに、三五郎の欠損を埋めて、恋の物語をはじめる「七」という数字の世界へ彼を導く役目のことである。同様に、町子の欠損を埋め、「七」の世界へ彼女を導く「六」も、「四」と対をなす数字として考えられている、ここも新しい点であろう。そしてそれと並行するように、「女の子」という語が二人称化しはじめ、三五郎の欲望が町子へ向けて発せられること、町子がそれにいかに応じ、「肩すかしを食らわせ」、浩六へと思いをスライドさせていくかということについても論じ、町子の恋の相手は結局、肉を伴わない「数字の恋」であると帰結させている部分は、読み手をなるほどと納得させるインパクトがある。テキストの構造を徹底的に追求した本論は、今後「第七官界彷徨」を読み解くうえで、重要な指標となることはまちがいない。
 紙数が尽きたが、本論の最初の部分で展開されている、サイレント映画とのかかわりを絡めた第七官界彷徨に対する考察、最後部の、純粋な作品論の重要さについての論述など、本論の読みどころはまだ多い。とくに最後部についてはぜひ一読していただきたい部分でもある。くわえて、町子と小野町子とのパスティーシュに由来する「笑いの性格」についても考察の可能性が示唆されており、布施氏のさらなる論の展開が待たれるところである。

『遊卵船』 第2号
 (発  行) 2005年5月22日
 (発行者) 遊卵船同人
  (連絡先) 〒西東京市向台町6−1−5−301 熊谷信子方
 (頒布価格)1,200円