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編集後記

Osaki Midori Forum in Tottori

 

      尾崎翠の先見性にあらめて目を開かされる◆

○ ・・・ ことしの尾崎翠フォーラムの3本柱の魅力的な企画は、いずれ
も時代に先んじた尾崎翠の先見性にあらめて目を開かさせるものでし
た。まず最初に、近藤裕子さんの「尾崎翠における<わたし> ― 転移
と模倣 ― 」という講演から、私はつぎようなメッセージを受け取りました。
すなわち、尾崎翠のテクストにおける恋愛は、もとからして失われたも
のであったり、借り物であったり、真似っこによるものであったり、といっ
た虚構の産物であること。これらのテクストの<わたし>は心理学的な
意味での転移と模倣によって成り立っていて、その転移が無意識や集
合無意識の領域で起きていること。近代知や近代文学が前提としてき
た近代的な自我、あるいはオリジナルな<わたし>なるものは幻想で
あって、そのような発想を1920年代に作品化していたところに、尾崎
翠の驚くべき先見性があるということ。等々・・・
 「新しい酒は新しい皮袋に」という言葉がありますが、尾崎翠のテクスト
の新しい読みを心理学的な用語と概念を使いながら、なじみの具体例
や会場での即席のパーフォーマンスやアンケートも交えつつ、楽しい雰
囲気のなかで分かりやすく展開された講演は、多くの聴衆に感動を与え
ました。拙著『尾崎翠と花田清輝 ― ユーモアの精神とパロディの論理
― 』で、やはり心理的転位とか模倣といった用語を不用意に使用しなが
ら尾崎翠のユーモアの精神を跡づけ、テクスト理論や脱構築論を援用し
てパロディの論理を展開し、いわゆるオリジナルな<わたし>を否定した
私にとっても、近藤裕子さんの講演はその深い心理学的な基礎づけと
読みから眼の鱗を落とされる思いでした。
○ ・・・ 澤登翠さんの活弁によるナジモヴァ主演の『サロメ』の上映は、
尾崎翠が『映画漫想』で絶賛した“まぼろしの映画”の83年ぶりの再公
開で、これまでのフォーラムを通しても屈指の企画だったと自負してい
ます。この映画は新約聖書に材を取ったオスカー・ワイルドの原作をも
とに、サロメの性的魅力を介してエロドの政治的権力とヨカナーンの宗
教的権威が三つどもえに激突する葛藤劇ですが、ナターシャ・ランボヴ
ァのシンプルで様式的な舞台装置を背景とした、ナジモヴァの映画的舞
踊とも称すべき流れるような演技は圧巻でした。
 私たちが『サロメ』の再上映を思い立ったのは、3年前のフォーラムに
カナダから招待したリヴィア・モネさんの講演「サロメという故郷」の刺激
と啓発によるところが大きかったと思います。モネさんのいわゆる徳川
夢声の弁士的話術を現代に継承し発展させた澤登翠さんの活弁は、い
まや国際的な注目と評価を受けています。今回の『サロメ』はサロメ、エ
ロド、ヨカナーン ・・・ とさまざまな主役たちの声に乗り移りながら演じら
れる、この話芸の芸術家の仮装・変身のドラマでもありました。澤登翠
さんの弁士活動は今年で35周年とうかがっていまして、フォーラムでは
『プラーグの大学生』と『椿姫』に続く3回目の公演でしたが、私にとって
はやはり今回の『サロメ』がもっとも印象深いものでした。
○ ・・・ 浜野佐知監督のガイドによる映画『こほろぎ嬢』ロケ地巡りは、晴
天に恵まれて快適なツアーとなりました。鳥取市にある尾崎翠の菩提寺
の養源寺から始まって、ロケの現場となった旧高農跡・浦富海岸・鳥取
砂丘・仁風閣を見て回り、興味深いロケの裏話や秘話も直接聞きながら、
すばらしい鳥取と岩美の自然と風物のいくつかに接することができました。
『こほろぎ嬢』は全篇鳥取ロケで製作した映画で、ロケ地は鳥取県の西
部・中部・東部と広範囲にわたっていましたが、今回のロケ地巡りは時間
の関係でフォーラムの会場のある東部のロケ地の数カ所に限定せざるを
得ませんでした。
 しかし、浜野佐知監督じきじきのガイドによるロケ地巡りはフォーラムな
らではの企画で、県外からゲストの澤登翠さんや顔なじみの研究者の方
々、地元鳥取からも尾崎翠のご親族の早川洋子さんや市民の皆様が多
数参加され、従来どおり翠生誕地の西法寺で昼食・休憩を取るなど、翠
ゆかりの地にも立ち寄る翠文学散歩ツアーでもありました。今回のロケ地
巡りの対象には入っていませんでしたが、映画『こほろぎ嬢』の終わり近く
に出てくる『地下室アントンの一夜』の地下室を思い出し、そこにおける個
性的な主役たちによる邂逅の大団円のシーンをめぐって、近藤裕子さん
が前日の講演で集合無意識ないしは深層心理の世界における転移の一
例と指摘し、「なるほどそういう場であったのか」と得心がいったような気が
して、ツアーの最中にも私の頭から離れませんでした。
 
                       
 (9月12日、土井淑平記)

 

        3本柱の魅力的な企画を立てました◆

○・・・ 早くも第7回を迎えた今年の『尾崎翠フォーラム・in・鳥取2007』
は、東京女子大学助教授の近藤裕子さん、活動弁士の澤登翠さん、
映画監督の浜野佐知さんをゲストに、いまから楽しみな3本柱の魅力
的な企画を立てました。1日目の7月7日(土)が近藤さんと澤登さんの
講演および映画『サロメ』の上映、2日目の7月8日(日)が浜野監督
のガイドによる映画『こほろぎ嬢』のロケ地巡りです。
○・・・ まず、メインの講演は『臨床文学論』などで独自の視点から尾崎
翠の方法的な読みを試みている近藤裕子さんの『尾崎翠における<わ
たし> ― 転移と模倣 ―』です。実のところ、<わたし>というのは誰
にとってもクセモノで、自明のものでは決してありません。近藤さんのい
わゆる<わたし>は、すでに経験されている他者との関係を別の他者
との関係に投影するという、心理学でいう「転移と模倣」の観点から尾
崎翠における<わたし>を読み解こうとするもののようで、尾崎翠の世
界について新たな目を開かされることになるでしょう。尾崎翠フォーラム
の講演は難しいとの声が一部にありますが、近藤さんは楽しい講演に
したいと言っておられますのでどうかご期待下さい。
○・・・ 澤登翠さんの活弁によるナジモヴァ主演の映画『サロメ』の上映
は、尾崎翠フォーラムがマツダ映画社に特注し、マツダ映画社が苦労し
て探した挙句ようやくDVDを外国から入手して、1923年の公開いらい
84年ぶりに実現する快挙です。尾崎翠が『映画漫想』で口を極めてナ
ジモヴァにオマージュを捧げていることは周知の通りです。第4回のフ
ォーラムにおけるリヴィア・モネさんの講演『サロメという故郷』でサロメ
の文化史のなかでのナジモヴァの画期的挑戦で目を開かされ、しか
もモネさん持参のビデオの数ショットでナジモヴァの見事な舞踊やヘロ
ド王の好色な眼差しに息を飲まされました。まずナジモヴァの『サロメ』
の魅力を澤登翠さんに語ってもらい、この日本を代表する話芸の芸術
家の活弁で幻の名画を観賞できるのも、フォーラムならではの贅沢な
企画と自負しています。
○・・・ 昨秋、オール鳥取ロケで尾崎翠の映画化の第2作『こほろぎ嬢』
を製作・監督した浜野佐知さんには、この自作の新作映画のロケ地巡り
のガイドをお願いしました。鳥取では昨年10月の先行ロードショーで大
勢の観客が足を運び、今年初めから東京を皮切りに劇場公開されてい
る『こほろぎ嬢』の舞台となったロケ地のうち、尾崎翠の出生地の岩美
町と終焉地の鳥取市を中心にロケ地とゆかりの地を巡る6時間のツア
ーです。そこには尾崎翠が生まれ育った山陰海岸国立公園の浦富海
岸や鳥取砂丘をはじめ、その人生と文学の感性をはぐくんだ原風景が
いまなお息づいており、浜野監督がこだわった撮影現場で監督自身の
肉声によるナマの解説を聞ける二度とない機会です。バス定員に限り
がありますので、お早めにご予約下さい。
○・・・ なお、尾崎翠フォーラム1日目の7月7日(土)の夕べにはゲス
トを囲んだ交流パーティも予定しています。めったに接することのないゲ
スト・研究者・参加者がお互い直接に顔を合わせて交歓する、くつろいだ
場でもあります。なるべく当日の参加も受け入れたいと考えていますが、
これまた準備の関係で参加希望者は早めにご予約下さいますようお願
いします。
                         (4月10日、土井淑平記)